手作り指輪コラム

結婚指輪への想い~理想のプラチナ編~

結婚指輪_プラチナ
 
いま日本で結婚する人たちの90%以上が結婚指輪を購入します。
その中で80%が貴金属のプラチナをベースとした合金、
20%弱が貴金属のゴールドをベースとして発色や硬度を変えるためにイエロー、ピンク、ローズ、ホワイトゴールドとした合金を使います。
 
その他にチタン、ジルコニウム、シルバー、ステンレスといったそれぞれの特性を生かした金属も使われることもあります。
 
日本の結婚指輪の80%はプラチナを主原料とした素材で作られているので、今回はプラチナの結婚指輪について詳しくご紹介します。

プラチナの歴史

ヒエログリフ

ヒエログリフ


 
プラチナが人類に使われた最古のものとして、エジプトでBC1200頃にヒエログリフやファラオの装身具にその痕跡を残しています。
 
現存する最古のプラチナ製品は、ルーブル博物館にある「テーベの小箱」というBC700頃にエジプトの女性神官シェペヌペットの墳墓から出土したものです。
 
プラチナ製品といっても箱は金と銀で作られていて、その表面に線を掘ってプラチナを象嵌(ぞうがん:金属などに模様などを刻み込み、そこに金・銀その他の材料をはめ込むこと)したものです。
 
プラチナの融点は1769℃と高く、その時代の技術では融点まで加熱できないので、プラチナのナゲットとして産出したものを伸展して象嵌したと思われます。
ただそれを古代エジプト人がプラチナと認識していたかどうかは疑問です。
 
プラチナという言葉は、18世紀後半、スペイン人のアントニオ・デ・ウジョーアが南米コロンビアのピント川で銀に似た白い金属を発見し、これを「ピント川の小さな銀(platina del Pinto)」と呼び白金の「再発見」となったことが元素名platinumの語源となります。
 
そして1750年、イギリスの王立協会(Royal Society)より新しい元素として認定されます。
金、銀、銅、スズ、鉛、鉄などの金属は古代から認識されていたのに、プラチナは元素として認識されたのは近代になってからなのですね。
 
これは

  • 1. 産出量が少ない
    • (人類によって産出された白金の総量は4,000t。体積にして一辺が6m弱の立方体ほどです)
  • 2. 融点が高いので扱いにくい
    • (銀を精錬する施設では溶かすことができないので大量に破棄されていました)

という理由ですね。

プラチナの特性

プラチナは融点が高いという性質のほか、化学的に極めて安定していて王水(おうすい:濃硝酸1、濃塩酸3の割合の混合液)にしか解けない、触媒として高い活性を持つといった性質を持っています。
 
その性質を利用して自動車の触媒(プラチナの総需要の40%)のほか工業用、医療用(22%)に使用されます。
プラチナが宝飾品として使われるのは35%です。
 
プラチナは

  • 1. 希少性
  • 2. 輝くように白い美しさ
  • 3. 科学的に安定しているので変色、変質しない

このような特性を持っているので宝飾品として使われるのです。
 
純度の高いプラチナ(Pt999)そのものは柔らかいのですが、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、銅(Cu)などを加えて加工しやすい硬さ、美しい発色のプラチナ合金(地金)を作ります。
日本では90%のプラチナと10%のパラジウムの合金(Pt900)が流通の本流です。
 
この合金はプラチナの持つ渋みのある灰白色と、パラジウムの持つ輝きのある灰白色がうまく合わさって美しい色合いになることと、加工のしやすい硬さになるので使われるのです。
 
しかし加工がしやすい硬さと丈夫さとは相反する関係になり、加工しやすい硬さであると石の留の部分である爪を細くすることができないため、繊細なデザインの宝飾品と「いつまでもそれを使ってほしい」という作り手の思いが二律背反してしまいます。
 
170322_爪01
 
また合金を硬くしすぎると、それを一生使う方を想定して提供している婚約指輪、結婚指輪は指が太くなったり細くなったりしてサイズを調整するときに、合金が割れたりしわになったりすることがあります。
 
結婚指輪、婚約指輪については試行錯誤しながら当社独自のプラチナ合金―ハードプラチナ(プラチナ90% パラジウム7% ルテニウム3%)―を使用することにしています。
 
金属構成_HPt
 
ハードプラチナは通常のプラチナ合金に比べ、鋳造のプロセスで出現する鬆(す:鋳型に流し込んだ金属にできた空洞部分)の処理が煩雑であったり研磨の困難さを伴ったりするのですが、このプラチナ合金なら爪を細くして繊細なデザインにしても石が外れるおそれは少なく、プラチナの持つ美しさ、サイズを調整する際の仕上げの美しさも損なわれません。
 
それに何より硬くて強い。これは今後一生この指輪を毎日使っていただくことを考えるとキズが付きにくく曲がりにくいので、とても心強く安心していただけることと信じています。
 
このハードプラチナを結婚指輪、婚約指輪の合金として決定するに際して県の工業試験場で試験をした結果を下記に記載しました。
 
 

4本の合金の指輪を持ち込み試験しました。

    品名=それを構成する元素(単位:%)

  • 1. K18(6:4)R=Au75% Cu15% Ag10%
  • 金属構成_K18

  • 2. K18WG(Pd7%)R=Au75% Ag18% Pd7%
  • 金属構成_K18WG

  • 3. Pt900R=Pt90% Pd10%
  • 金属構成_Pt900

  • 4. Pt900(Ru3%)R=Pt90% Pd7% Ru3% ※ハードプラチナ
  • 金属構成_Pt900Ru

A・・・硬度試験(ビッカース硬度)単位:HV
B・・・強度検査 単位:kgf

品名 測定値(1) 測定値(2) 測定値(3) 平均値
1 K18(6:4)R 148.0 138.0 140.0 142.0
2 K18WG(7%)R 80.8 78.7 75.9 78.5
3 Pt900R 75.0 58.5 70.7 68.1
4 Pt900(Ru3%)R 121.0 122.0 128.0 124.0
品名 Kgf
1 K18(6:4)R 18.23
2 K18WG(7%)R 8.91
3 Pt900R 9.44
4 Pt900(Ru3%)R 17.22

この結果を読み解くと、3の通常のPt900の指輪に比べ4のハードプラチナのほうがAの硬度検査においてもBの強度検査においても1.82倍硬く、強いということを示しています。
これは日々アトリエの中でこの合金を取り扱っている私共の感性とも一致します。
 
ジュエルはまの工房 “アトリエHAMA” では日々、この硬くて少し扱いにくいハードプラチナを美しく仕上げていくために、一級技能士がよりよい材料を探し、技術を追求しています。
 
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